ウォーキングで速度を上げていくとだんだんとキツくなります。不思議なことに、同じスピードで速歩とスロージョギングをした場合ではスロージョギングの方が楽です。どうしてでしょうか?
楽に走れる理由とスロージョギングの体脂肪燃焼効果についてお伝えします。
ヒトは時速6kmを超えると走り出す方が楽である!
歩行スピードをだんだんと上げていくと走行に切り替わります。この時の速度はトレーニングを積んだ人でも初心者でもほぼ同じです。その速度は時速6km前後であることがトレッドミル(速度や傾斜が変えられるランニングマシーン)を使用した研究によりわかっています。
ではなぜ時速6kmを超えると歩くよりも走る方が楽になるのでしょうか?
早歩きでは特定の筋肉に負担がかかる
歩きでは常にどちらかの足が地面に着いています。地面を着地した足で押して前進する力を得ます。早く歩くためにはより強く地面を押す必要があります。早歩きでは前方向への移動は特定の筋肉に負担がかかります。
負担がかかる分、きつい運動となります。
スロージョギング(ランニング)の方がエネルギー効率が良くなる
ランニングは歩行と違い、左右の足が地面から浮いている瞬間があります。つまり、両足が地面から離れて前進しています。ジャンプを繰り返している状態です。
ジャンプしてフォアフット着地をすると、下肢の筋肉(腓腹筋)とアキレス腱をバネのように作用させることが出来ます。
こうした動作では特定の筋肉に過度な負担がかかることがありません。
つまり楽な動作でありながら、飛び上がった時の重心の移動による位置エネルギーを得ることで前進する力は歩く場合よりも大きくなります。
歩く場合に比べ、スロージョギング(ランニング)をした方が楽に前方への移動スピードを得ることができるのです。
スロージョギングでの着地のコツ
私はほぼ、毎日スロージョギングをしています。
月曜から金曜日まで「朝の運動」として利用者さん(福祉施設)と20分、散歩をする時間があります。利用者さんは散歩の時間ですが、私はスロージョギングをしています。
スロージョギングのフォアフット着地について試行錯誤する時間でもあります。(実はフォアフット着地の感覚をつかむには少々時間がかかるのです。)
スロージョギングの創始者である田中宏暁教授によると
フォアフット着地のコツとして「身体を一本の電信柱と意識し、それが斜めに倒れる状態をイメージする」という基本ポイントがあります。
試しにやってみたのですが、太腿がどうも疲れる。(負担がかかる)
20分の散歩コースの終わりに上り坂があります。そこで「電信柱状態」でスロージョギングしてみたところ、太ももの負担が少なく楽にランニングできました。「これか!」と思いました。
どうやら、前傾姿勢ばかりに気を取られていて「着地では接地点と胴体と頭が一直線になる」という、もうひとつの基本ポイントを忘れていました。
上り坂でのフォアフット着地を意識することで、自然と田中教授が推奨されるフォームの感覚がつかめたのです。
同時に、継続的な練習の大事さも理解することができました。
スロージョギングの体脂肪燃焼効果は?
体脂肪1kgを落とすためには7200kalの消費が必要とされます。スロージョギングで1km走れば体重分のカロリーが消費されます。
例えば、60kgの体重の人が1km走れば、60kcalの消費です。
1kgを落とすためには
7200kcal ÷ 60kcal = 120 km
体重60kg を1kg 落とすためには 120km 走らなければなりません。
1ヶ月で120km(一日4km)走れば、体重が1kg 落とせます。
ランニングのスピードはゆっくりでも、速く走った場合でもエネルギー消費量にはほとんど差がないことがわかっています。1kmをスロージョギングで走っても、速く走っても消費されるカロリーは
体重(kg) ☓ 距離(km) となります。
ちなみに、ウォーキングの体脂肪燃焼効果は
時速3~5kmの通常のウォーキングでは、体重1kgあたり0.5~0.6kcalを消費します
(ランニングする前に読む本 田中宏暁 より)
となります。
つまり、スロージョギングの50%~60%の体脂肪燃焼効果しかないことになります。
時速6km以上は消費量が増大しますが、このスピードを維持してウォーキングは大変きつい運動となります。時速6kmを超えるとランニングに切り替えた方が楽に体脂肪を燃焼させることができます。
食事制限との併用が最も効果的
スロージョギングの体脂肪の体脂肪燃焼効果は食事制限との併用が最も効果的です。
食事の量が一定であれば、スロージョギングをすることでカロリーが消費され痩せることができます。
スロージョギングをしても痩せないのは、食事の量が原因です。
食事で摂取したカロリー総量が基礎代謝やスロージョギングなどの活動で消費したカロリー総量を上回る場合には体脂肪が蓄積され、痩せることができません。
運動をすることで食欲が増進するのは仕方ありません。ただし、どか食いだけは避けるようにしましょう。
極端に食事量を減らす必要はありません。お菓子やジュース・炭水化物の量を控え、腹八分に留めておくなどの食事制限で十分です。
実験によると、一時間以上の運動をした場合 食欲増進により摂取カロリーは上昇しますが体重が一定に保たれることがわかっています。
つまり、食事の量が一定ならば、スロージョギングで走った距離分だけは必ず痩せるということになります。
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