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子どもの肥満防止。脂肪細胞の増加する時期と働きについて

食生活改善

子どもの肥満防止に悩まれている方が多いようです。乳幼児期や思春期に肥満細胞が増えると本当に、大人になると肥満しやすいのでしょうか?調べてみました。ご報告します。

脂肪細胞の増える時期は3つある

第一期 妊娠前期 脂肪細胞は受精後2週間より出産の2か月前に一生のうち脂肪細胞の数や大きさが最も増えます。 第二期 生後六ヶ月~一年 生後六ヶ月~一年の間で脂肪細胞は大人と同じ大きさになります。 脂肪細胞の数は出生時の3倍に増えます。 第三期 思春期 8歳から17,18歳までの時期。この期間に増えた脂肪細胞の数は一生を通じて減少することはないと言われています。   “3歳で脂肪細胞の数が決まってしまうので、その頃太っていると将来も肥満体質になりやすい。” この説には科学的な根拠はありません。いわゆる俗説です。 3つ子の魂、百までも的な発想からのものです。 しかし、8歳から17歳・18歳までに一度増えた脂肪細胞の数が減少することはほとんどあり得ません。 (正確には白色脂肪細胞のことです。 どうして減少しないのかは後述します。) 乳幼児期は、大人になるために発育が必要な時期です。そのため細胞数が増加します。脂肪細胞も例外ではありません。 ただし、人工栄養(粉ミルク)の与えすぎには注意が必要です。粉ミルクには100gあたり34gの糖分が含まれるので脂肪細胞が過剰に増加する可能性があります。 しかし、乳幼児期は皮下脂肪の蓄積が主です。皮下脂肪は体温を保持する働きがあり、かつ免疫力を高める働きがあることが各種研究から判明しています。 ぽっちゃり型の赤ちゃんの方が風邪や病気にかかりにくいので、過剰すぎる糖分の摂取以外はあまり気にする必要はありません。 乳幼児期よりも学童期・思春期に脂肪細胞の数を増やさないことが大切です。

肥満とは脂肪細胞のバランスが崩れた状態。

脂肪細胞は白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。白色脂肪細胞は脂肪を蓄える働きがあり、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼する働きがあります。この両者がバランスを保つ限り、肥満にはなりません。 糖質を多量に含む清涼飲料水やスナック菓子の食べすぎと運動不足が中性脂肪を増やし、白色脂肪細胞を過剰に増加させます。褐色脂肪細胞とのバランスが崩れた状態=肥満をもたらします。

脂肪細胞イコール悪ではない!良い働きもすることを知っておこう。

近年の脂肪細胞研究より、脂肪細胞は心筋梗塞・脳梗塞や糖尿病・動脈硬化,高血圧,インスリン分泌などに影響する物質を作っていることがわかっています。 体に良い物質を出す場合は内臓脂肪が少なく皮下脂肪が多い場合です。 この場合、体に良い影響を及ぼすアディポネクチンというタンパクを分泌します。 アディポネクチンは脂肪細胞でのみ作られる純粋の脂肪細胞特異性タンパクであり,動脈硬化や糖尿病の予防に効果があることが判明しています。 血液中に多量に含まれており、内臓脂肪の増加によりその量が少なくなることが知られています。

皮下脂肪肥満はいい肥満!内臓脂肪肥満を防ぐことが大事。

女性は女性ホルモンにより皮下脂肪が溜まりやすく、逆に男性は内臓脂肪が溜まりやすい傾向があります。 BMIが25以上で体脂肪率40%以上の、いわゆる“肥満”と診断される女性の血液検査をしてみると、γ-GTP(肝機能検査値),空腹時血糖値,悪玉コレステロール,中性脂肪の基準値は正常範囲であったというデータがあります。 これは最近の医学では“皮下脂肪肥満は必ずしも悪い肥満ではない”ということを示しています。 内臓脂肪が蓄積し肥大化することで免疫細胞が内臓脂肪細胞を敵とみなし攻撃します。(内臓脂肪細胞の炎症)。炎症した内臓脂肪細胞からは体に悪影響を及ぼすホルモンが分泌され、免疫力が低下することが最近の研究からわかっています。 これが体に悪影響を及ぼす“悪い肥満”です。 内臓脂肪の蓄積を防ぐ食生活や運動習慣が大事です。

なぜ、思春期に増えた脂肪細胞(白色脂肪細胞)は減ることはないのか?

エネルギーを蓄えるための白色脂肪細胞は、エネルギーが必要となれば、遊離脂肪酸とグリセロールに分解され全身に供給されます。 脂肪が分解された白色脂肪細胞は消滅するのではなく、小さくなって前駆細胞となります。 前駆細胞とは新たに細胞として再生するための準備をしている細胞です。 食事で糖分摂取が過多になり中性脂肪が生成されると、すぐに脂肪を取りこんで元の白色脂肪細胞に再生します。 前駆細胞は、すぐに脂肪を取りこみ、再生するのです。 ただし、白色脂肪細胞の寿命は10年だと言われています。 思春期に増えた脂肪細胞であっても、10年間、白色脂肪細胞に再び脂肪分が与えられない限り、増えることはありません。 この脂肪分注入10年間禁止を守るのが困難なため、思春期に増えた脂肪細胞を減らすことが出来ないと言われています。  

まとめ

脂肪細胞の増える時期は妊娠前期・生後六ヶ月~一年・思春期(8歳~17・18歳)の3つある。

肥満は白色脂肪細胞が偏って増えた状態である。

脂肪細胞からはアディポネクチンが分泌されており、動脈硬化や糖尿病予防に役立っている。

皮下脂肪肥満よりも内臓脂肪肥満にならない食生活・運動習慣を身に着けることが大事。

思春期に増えた白色脂肪細胞の寿命は十年ある。細胞から脂肪がなくなっても死滅しない。脂肪が蓄えらると肥大化する。

《参考》 ・脂肪細胞の正体 河田照雄日本小児理学療法学会 教育講演3 「予防と理学療法 ~子どもの代謝の立場から~」 木村 朗 ・BSプレミアム カラダのヒミツ 「炎症が決める“肥満の質”」 ・脂肪細胞の驚くべき真実 松澤佑次 中央法規 ・肥満児とやせ児 その心理と指導 森田憲導・岡田桂子共著 ぎょうせいヘルスライブラリー

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