『肉を食べる人は長生きする』という説があります。本当でしょうか? 肉食が体に良い理由を調べてみました。ご紹介します。
人間の体はたんぱく質が第一に必要な栄養素。
たんぱく質は英語でプロテイン(protein)と呼びます。これは ギリシア語が語源であり、プロティオス(proteios)「一番大事なもの」という意味から由来しています。 たんぱく質は臓器・皮膚・毛髪・爪・骨・筋肉など、あらゆる体の組織を作る重要かつ必要不可欠な栄養素です。 そうした栄養素のため「一番大事なもの」と呼ばれました。 たんぱく質は動物性のものと植物性のものがあります。 動物性たんぱく質として魚・肉、牛乳、チーズ、卵、植物性のものでは大豆を使った豆腐・納豆などがあります。 これら、動物性たんぱく質、植物性たんぱく質は摂取した後、体内でアミノ酸に分解され、人間の体内に必要なたんぱく質として再合成されます。
しっかり肉を食べることで元気で生き生きになる。
人類の祖先はもともと、狩猟や採取で食物を得ていました。農耕を始めたのは10万年前です。農耕により土地に定着して生活するようになりました。 人類は約250万年前にアフリカで発生したと考えられています。そこから世界各地へと移動しました。グリーンランドやアラスカ・シベリアなど穀物のほとんど存在しない地域へも移動しています。このような移動を可能にした理由として、人類はもともと、草食中心の食生活ではなく肉食中心の食生活を送っていたからだと考えられます。 そして肉食中心の食生活であったからこそ、たんぱく質の合成に必要なアミノ酸の20種類のうち9種類の合成が体内で出来ずに、私たちは、現在でも9種類のアミノ酸は食物から摂取する必要があります。
低栄養では長生きできない
高齢者2万人を調査された『肉を食べる人は長生きをする』(PHP研究所)の著者、柴田博教授は次のように述べられています。 “肉をしっかり食べることは、元気に生き生きと長寿をまっとうするために欠かせない食生活であることは明白なのです。” 肉をしっかり食べることで、加齢による心身の活力(筋力や認知機能、社会とのつながり等)や栄養状態の低下を防ぐことができます。 肉に含まれる脂肪分やコレステロールを気にされる方がいます。しかし、高齢者にとって、脂肪分やコレステロールが不足することが低栄養状態となり、血管壁がもろくなり脳血管障害を誘発します。 コレステロールが不足しがちな人ほど、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血になる危険率が高い。高齢者2万人を調査した臨床データより判明しています。 また、コレステロールに関しては、人間はどんなに大量に摂取したとしても、血液内のコレステロール値は一定値となることがわかっています。
肉食が体に良い理由
高齢者にとって、肉食は次のような点が栄養分摂取として優れています。
1.神経伝達物質であるセロトニンの原料、必須アミノ酸のトリプトファンが多く、うつ予防・自殺予防につながる。
2.牛肉はカルニチンが多く脂肪の燃焼に効果がある。
3.豚肉には抗酸化物カルノシン(老化予防)、鶏のムネ肉にはアンセンリン(疲労回復効果・痛風予防)が多い。
4.赤身の肉には吸収されやすいヘム鉄が多く含まれ、貧血不足予防に効果的である。
5.肉類の脂肪の割合は飽和脂肪酸4、一価不飽和脂肪酸5、多価不飽和脂肪酸(リノール酸)が1の割合である。飽和脂肪酸(パルミチン酸・ステアリン酸)は血中コレステロール値のコントロール等、健康予防につながる。
6.幸福感や高揚感をもたらす脳内で作用する至福物質アナンダマイドが、脂肪を適度に含んだ肉を食べることで豊富に作られる。
7.豚、イノシシにはビタミンB1が多いため、エネルギーの代謝に効果的。皮膚や粘膜の健康維持につながる。
8.鶏肉などに多く含まれるシスチンが免疫力を高める。
どれくらいの量を食べれば良いのか?
百寿者の調査結果より 100歳以上の長寿者(百寿者)1018名の食生活からの聞き取り調査より、良質なたんぱく質を摂取することが長寿の秘訣だということがわかっています。 良質なたんぱく質とは何でしょうか? その答えは。人間のたんぱく質組成に近い食品。魚介、肉、卵、大豆です。その中でも肉食はアミノ酸スコア100の良質なたんぱく源となります。 では、どれくらいの量を食べればよいのでしょうか?
国のたんぱく質摂取基準は低い?
厚生労働省の示すたんぱく質をとる目安量=成人男性60g 成人女性55g となっています。 しかし、この基準より少し多い60~100gを目安にするのが良いと言われています。 植物性たんぱく質と動物性たんぱく質をバランスよく摂ることも大事です。 たんぱく質の摂取量だけに着目すると動物性たんぱくが効率よく摂取できますが、植物性食品の栄養分には動物性食品にはない働きをするものが含まれています。水溶性ビタミンB1、ビタミンC、葉酸、マグネシウム、オメガ6系不飽和脂肪酸などです。 これらの栄養素を摂取することは動脈硬化の予防となります。つまり、日本人の死亡原因で高位である、脳卒中や心筋梗塞を予防することになります。 体内に存在している物質にはある一定の法則があります。 それは、『多すぎても、少なすぎても、体には有害である』という法則です。 だから、肉食が体に良いといっても肉ばかり大量に食べ続けるという生活は食費もかかりますし、体には有害です。 バランスのとれた食生活を心がけたいものです。
まとめ
いろいろな種類の肉食をすることで健康維持に効果が期待できる。
植物性たんぱく質と動物性たんぱく質をバランスよく摂る。
食肉ばかり極端に大量に食べるのは体に有害である。
《参考》 肉を食べて健康寿命を延ばそう 日本応用老年学会理事長・医学博士 柴田 博 長生きしている高齢者は何を食べているか? 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/nagaiki-koreisha-naniotaberu.html 肉を食べる人は長生きする 柴田 博 PHP研究所 長寿の嘘 柴田 博 ブックマン社
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