PR

低脂肪牛乳が尿酸値を下げるという理由

食生活改善

出典 https://pixabay.com

「ためしてガッテン」で『低脂肪牛乳を飲むことで尿酸値を下げる方法』が紹介されていました。(2017年1月4日(水)放送)

私は、33歳で痛風を発症して以来、20数年間、薬を飲み続けています。

職場ではそれ以上、給食で約30年間、牛乳を飲み続けてきました。

(そのおかげで、尿酸値は安定しています。しかし、薬は飲まない方が良いと思っています。)

「低脂肪牛乳が尿酸値を下げる理由」を、TV番組で取り上げられなかった面を含め、お伝えします。

低脂肪牛乳とは

市販の牛乳は次のように分類されます。

牛乳 成分が無調整で生乳を加熱殺菌
成分調整牛乳 生乳から乳脂肪分などの一部を取り除いて調整
低脂肪牛乳 生乳から乳脂肪分を取り除いて0.5~1.5%以下に調整
無脂肪牛乳 生乳からほとんどの脂肪分を取り除いたもの
加工乳 生乳にバターやクリームなどの乳製品を加えたもの

低脂肪牛乳は脂肪分を取り除くので、それを補ううまみとして脱脂粉乳が加えられています。脱脂粉乳を加えた分、タンパク質やカルシウムなどの栄養分が無調整牛乳より多いようです。低脂肪牛乳は無調整な「牛乳」よりも低価格です。作業工程としては「牛乳」のほうが手間をかけておらず逆のように思われます。

しかし、生乳からの脂肪分はバターやチーズなどに製品化され、利益が生じます。その利益のおかげで脱脂粉乳を加えるという作業工程が増えても、市販の牛乳製品トータルとしては低脂肪牛乳の価格を低めに設定できるのです。

カゼインとラクトアルブミンの含有量は?

牛乳の中にはカゼインとラクトアルブミンという成分が含まれています。この2つの成分が腎臓の働きを助ける作用があるため、尿中の尿酸の体外への排出を促します。体内から尿酸がスムースに排出されるので痛風予防の効果が期待できます。

NPO法人 チーズプロフェッショナル協会のHPによると

普通牛乳の成分は87.4%が水分で、残りの12.6%が固形分ということになります。その固形分の中身は脂肪3.8%、蛋白質3.3%、炭水化物4.8%で、あとは微量成分です。

カゼインは蛋白質、ラクトアルブミンは炭水化物です。普通牛乳=「成分が無調整で生乳を加熱殺菌」と低脂肪牛乳=「生乳から乳脂肪分を取り除いて0.5~1.5%に調整」では脂肪分の調整がなされているだけなのです。カゼイン、ラクトアルブミンの含有量は普通牛乳と低脂肪牛乳では差がないのです。

プリン体と痛風

プリン体は尿酸をつくる元の物質です。細胞の核は核酸によって構成されています。プリン体は核酸の主成分なので、細胞にとって欠かせない物質です。人間の体内でプリン体は無数に存在しています。遺伝情報を作り伝達する役割があります。

筋肉を働かせるATPというエネルギー源もプリン体により構成さています。人体の活動を支えるのにプリン体は必要不可欠な物質です。そうしたプリン体の80%は体内で生成されています。ストレスや疲労で新陳代謝がうまくいかない場合やはげしい運動などをするとその量が増加します。残り20%を食事から摂っています。

肉や魚、野菜、豆類、海藻などすべての食物にプリン体は含まれています。干し椎茸、鶏レバー、豚レバー、牛レバー、鰹節、煮干しなど旨味があっておいしいと言われるものの中に多く含まれています。

アルコール類ではビールに多く含まれているといわれていますが、これは誤解です。100ml中の含有量は3mgです。(メーカーにより違います)

煮干し(746.1ml)干し椎茸(379.5ml)鰹節(493.3mg)の方が圧倒的に多く含まれています。

新陳代謝により古い細胞から核が放出され分解されると、プリン体が産出されます。そうして体内で産出されたものや食事から摂取したプリン体を肝臓で分解する時に尿酸ができます。尿酸は老廃物として尿や便と一緒に体外に排出されます。

しかし、体内で生成される量が増加したり、食事から摂取したプリン体の量が過剰である状態が続くと排出されずに血液中の尿酸の濃度が上がります。痛風は血液中の尿酸が高濃度になると結晶化して起こる病気です。体温が低い箇所で結晶化しやすいので足の親指の関節などに起きやすくなります。

出典 https://pixabay.com

さまざまな食品と痛風発作のリスクとの関係

2012年11月17日付けの週刊東洋経済に『Dr.シラサワの超「抗加齢学」』に『コーヒーと牛乳で痛風を予防する』(白澤卓二・順天堂大学教授)が掲載されました。その中で白澤教授は次のように述べています。

米国・マサチューセッツ総合病院リウマチ科のヒョン・コワ博士は、さまざまな食品と痛風発作のリスクの関係性について調査してきた

 

このコラムはヒョン・コワ博士の研究を紹介した内容のものでした。

博士の研究はアメリカの成人男性47,150人を対象とした12年間のいろいろな食物と痛風発作危険度の追跡調査でした。

アルコールをまったく摂取しない男性(対象群)とそうでない男性(処理群)を比較調査した結果

アルコール摂取量(1日量) 飲まない(対照群) 飲む場合の痛風発作危険度(処理群)
10~15g未満 1 1.32倍
15~30g未満 1 1.49倍
30~50g未満 1 1.96倍
50g以上 1 2.53倍

アルコール摂取量が増えるほど痛風発作を起こしやすいことがわかります。

ビール、ワインの比較では

アルコールの種類 飲まない(対象群) 飲む場合の痛風発作危険度(処理群)
ビール(339g/ 1日) 1 1.49倍
ワイン 1 危険度の上昇はみられなかった

ビールに含まれるプリン体が血中の尿酸濃度を上げ発作の要因になるようです。

肥満傾向にない男性(対照群)と肥満傾向の男性(処理群)が肉や魚を食べた場合

食品 肥満でない(対象群) 肥満である(処理群)
1 2.25倍
1 2.73倍

魚の方が発作の少し危険度が高いようです。肥満傾向にある方は肉・魚を食べる量を控えめにしたほうが良いようです。

乳製品について

乳製品の摂取量 肥満でない(対象群) 肥満である(処理群)
少ない 1
多い 0.58倍 0.74倍

乳製品を摂ることで発作の危険度が下がることがわかります。

コーヒーについて

コーヒーの摂取量(1日) 飲まない(対象群) 飲む(処理群)
1~3杯 1 差はみられない
4~5杯 危険率40%減少
6杯以上 危険率約60%減少

コーヒーは1日4杯以上飲むと予防効果がみられるようです。なお、お茶ではコーヒーのような予防効果はみられませんでした。

「ためしてガッテン」と牛乳奨励

2004年6月16日にもNHKは「ためしてガッテン」で『痛風対策の新事実』という番組を放送しています。 FINALVENT’S BOOKという方がご自分のブログにその番組をみた感想を詳細に述べられておられます。

痛風、ためしてガッテンは間違い?

英語に堪能な方のようで「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」から引用された学術論文を訳しながら解説をされています。その方のブログからの引用です。

ただし、ホームページのサマリーには記載されていないが、NHKの番組では女性アナウンサーが牛乳はよいということをやや強調していた。しかし、番組の流れからすると、アルカリ性食品だからということではあった。

*注 NHKの該当ホームベージのサマリーは月日が経っているので削除されて

いました。

私が気になった箇所はNHKの「ためしてガッテン」が痛風に効果的な食品として牛乳がいいとう気持ちにさせるよう放送を意図しているのではないかと述べられている点です。2004年から2017年の現在に至るまで、「ためしてガッテン」は痛風に効果的な食品として牛乳を一貫して奨励していることがわかります。

市販牛乳の栄養効果に対しては高熱で殺菌されているため酵素が死活しているため嗜好品と考えて飲んだ方が良いという意見もあります。

市販の牛乳は加熱殺菌処理されているため食物酵素は死活しています

わたしの推測ですが、いろいろな博士や教授の論文やコラムをリサーチしてその理論を基に番組を企画しているのではないかと考えています。

低脂肪牛乳が尿酸値を下げるというデータを、実生活でどう活用しようかと思案中です。

というのも、実は私は、毎日昼食に牛乳を飲む生活を20数年送ってきたのです。(昼食に配給されてきました。)私の尿酸値の安定は薬の作用なのか、牛乳の効果なのかデータが取りにくい食生活を長年送ってきました。

(薬+牛乳のおかげなのか、暴飲・暴食をしても痛風発作が起こることはありませんでした。)

毎月一回、痛風の薬を整形外科に行って処方してもらっています。

『「ためしてガッテン」みたら低脂肪牛乳が尿酸値を下げると放送していたんですが?』

と私の主治医にきいてみることにします。さて?どんな返答が帰ってきますか。

まとめ

 

出典 https://pixabay.com

低脂肪牛乳は牛乳と比較して低価格であるにもかかわらず、タンパク質やカルシウムなどの栄養分が多く含まれている。

カゼインとラクトアルブミンの含有量は牛乳と低脂肪牛乳では差はない。

プリン体の80%は体内で生成されている。食物からは20%の摂取量である。

アルコール摂取量が増えるほど痛風発作の危険性は高くなる。

乳製品を摂ることで痛風発作を起こす危険度は低くなる。

コーヒーを1日4杯以上飲むことで痛風発作を起こす危険度は低くなる。

「ためしてガッテン」は痛風予防に関して牛乳の効果を一貫して放送している。

追記 主治医のコメント

私の主治医からコメントをいただきましたので紹介します。

私  「NHKの”ためしてガッテン”をみたら『痛風には牛乳が効く』らしいのですが?」

主治医「牛乳が?」「聞いたことないなぁ」

「『ためしてガッテン』には困る時もある」

現在の私は、まだ痛風治療薬から牛乳へという決心はつきかねております。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました