学校給食のある職場で先生をしていました。週5日間(月~金)は給食で牛乳を飲む生活を30数年間続けました。ほぼ、毎日のように牛乳を飲んでもお腹を壊すことはありませんでした。牛乳を飲んでもお腹を壊さない方法についてお伝えします。
牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする理由
乳糖の働き
牛乳に含まれる糖分の事を乳糖といいます。乳糖はブドウ糖とガラクトースが一分子ずつ結合し、出来ています。
乳糖は腸内細菌を増やす働きがあります。乳糖は小腸でブドウ糖とガラクトースへ分解され吸収されます。小腸での分解に必要なものがラクターゼと言われる乳糖分解酵素です。
赤ちゃんは生まれてから乳で育ちます。乳糖を分解し栄養を得ます。つまりラクターゼがなくて、乳糖を分解できない場合、生死にかかわります。
赤ちゃん時代は、ラクターゼが小腸粘膜に豊富にあり働きが良いのが通常です。
大人になると他の食物から栄養を得るにつれて、ラクターゼは減少してしまいます。日本人の場合、赤ちゃんのラクターゼの働きを100とすると成人では10前後と推定するデータもあります。
乳糖不耐症とは
小腸粘膜にラクターゼがなかったり、あっても働きが良くなかったりすると、乳糖をブドウ糖とガラクトースへ分解し、小腸で吸収できません。
乳糖が小腸で消化・吸収されず、そのまま大腸に送られると、乳糖は大腸内の腸内細菌のエサになります。大腸内では乳糖をエサにして発酵が始まります。発酵によりガスが発生。これが牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする理由です。
乳糖不耐性といいます。
ある健康情報で牛乳は体に悪い情報を信じた時期がありました。
『牛乳は子牛が飲むもので、人間が飲むものではない』『牛乳をたくさん飲むことで逆に、体内のカルシウムが減る。健康に悪影響がある』という健康情報を信じた時期がありました。
当時、学校給食でした。給食で出される200mlの牛乳を飲まずにいました。破棄するのも、もったいないので冷蔵庫で保管していました。一週間で1000ml貯まります。
牛乳を1000ml飲んでみた。
ある日、試しに牛乳を飲んでみようと思いつき、一気に1000ml飲んでみました。(当時、多額のローン返済中でした。食費を切り詰めて生活していました。喉が渇いていたのと、他に飲むものがなかったという理由が重なりました。)
お腹を壊すことはありませんでした。
医学関係では、一度に50gの乳糖を飲んで、血糖値が30分以内に血液100ml当たり25mg以上上昇しないとき乳糖不耐性と診断することになっています。
(牛乳読本 土屋文安 著 NHK出版より引用)
一度に50gの乳糖摂取とは1000mlの牛乳を飲んだ場合に該当します。
この基準で診断した場合、私はどうやら乳糖不耐性ではないようです。
長年の牛乳摂取生活が影響しているのかもしれません。
乳糖不耐症でも牛乳が飲めるようになる方法
私は幸い、牛乳を消化・吸収できるようです。しかし、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人でも、飲み方を次のように工夫することで牛乳が飲めるようになります。
牛乳を少しずつ、ゆっくり飲む
給食では200mlの牛乳パックが出されます。これを一気に飲むのではなく、50mlずつ、100mlずつといったように、少ない量を一日かけて分散してゆっくりと飲むのです。小腸の乳糖分解酵素(ラクターゼ)の働きが良くない方でも少量ずつ乳糖が小腸に送られるので消化吸収を行うことが可能となります。
牛乳を温めて飲む
胃腸は冷たい刺激をうけると蠕動します。(くねくねと動きます)
お腹がゴロゴロして、便通を促します。
牛乳を温めてから飲みましょう。
牛乳をそのまま飲まず、料理に加えて摂取する。
他の食材と牛乳を一緒にとることで、少量・加熱した状態で牛乳を摂取したことになります。
牛乳にこだわらず、チーズ・ヨーグルトなど乳製品で摂る
チーズは乳糖が除かれた加工品なので乳糖不耐症の方でも安心して摂取することができます。牛乳がどうしてもダメという方にはおすすめです。
ヨーグルトは乳酸菌で発酵させた加工食品です。栄養分は、ほぼ牛乳と同じです。乳酸菌がラクターゼを持っています。乳酸菌は胃酸で死滅しますが、ラクターゼそのものは小腸に到達しますので乳糖分解には効果的です。
まとめ
長年の牛乳摂取生活は乳糖分解酵素であるラクターゼの働きを良くする作用が期待される。
乳糖不耐症の場合でも飲み方を工夫することで牛乳を飲めるようになる
乳糖不耐性の場合、牛乳にこだわらず他の乳製品を取ることで同等の栄養分を摂取できる。
参考:牛乳読本 だれでもわかる牛乳の新知識 土屋文安 NHK出版
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