
中高年になると、筋力の衰えから膝痛になりやすく、運動不足による脳機能低下・体力低下の傾向がみられます。それを防ぐためには、膝痛のための筋力トレーニング方法の知識が必要です。
中高年におすすめの膝痛を予防する筋トレ方法を紹介します。
中高年の寿命を縮める原因のひとつ!変形性膝関節症
私の母親の話を紹介させて下さい。
60歳で変形性膝関節症と診断されました。病院で治療を受けたりしていましたが、軟骨がすり減って大腿骨と脛骨・腓骨の隙間が少なくなり痛みがひどくなりました。
それまでは、外出をして買い物などを楽しんでいました。しかし、膝の痛みで外出を控えるようになりました。
70歳を過ぎる頃には家ではこたつに入りびたりになり、食事の支度以外には体を動かすことが少ない生活になりました。あるとき、法事の日時を勘違いして親戚宅を訪問する行動がみられるようになりました。いわゆる、認知症になりました。
そして、車椅子生活となり老人ホームへ入所。74歳で永眠しました。
変形性膝関節症になったことで、歩くことが困難となり、その影響で、生活意欲の減退・脳の機能・体力低下が影響をして寿命が短くなったのだと思います。
ホーム時代には、休日を利用して車でドライブに連れていったりして気分転換は図りましたが、根本原因の膝が回復しないので自力で歩行することは出来ませんでした。
何歳になっても自力で歩けるというのはとても大事な事だと思います。
膝関節に効果的なトレーニング方法を知ることで、膝寿命を伸ばしていただけたら幸いです。
圧倒的に女性に多い!変形性膝関節症の特徴と原因

圧倒的に女性が変形性膝関節症になる可能性が高いです。60歳代では50%を超え、70歳代になると、驚くことに約80%を超える女性が罹患しています。(日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム診断ガイド2010データより)
その理由としては次のように分析がなされています。
1.膝関節を固定する筋肉量が男性に比べて少ない
2.閉経によりエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に少なくなり骨がもろくなる。
3.男性に比べて日常的に立ったり座ったりして膝を酷使する場面が多い。
膝の酷使は、畳があるご家庭ではよくみられる現象です。男女平等と言われて久しいですが、残念ながら、家庭内において女性がお茶を出したりするなどして動くことが多くみられます。
変形性膝関節症の9割は膝の内側の軟骨がすり減って痛みがでます。筋力の低下によって膝の固定がうまくなされないままの曲げ伸ばしにより、軟骨がすり減り、関節が変形してしまいます。変形した関節で歩くことで激痛を伴います。
変形性膝関節症を予防するために大切な3つの筋肉とトレーニング方法
変形性膝関節症予防に大切な3つの筋肉とは、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)・内転筋(ないてんきん)・大臀筋(だいでんきん)のことを指します。
これらの筋肉は歩行時における膝関節の安定に重要な役割を持っています。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

大腿四頭筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋という4つの筋肉の総称です。膝を伸ばしたり、脚を付け根から動かすことで股関節を屈曲させます。
外側広筋、内側広筋、中間広筋は膝を伸展させます。大腿直筋は股関節を屈曲させます。
膝への負荷は立っている場合でも体重の3倍、歩行時には5倍~7倍、階段の昇り降りで7~10倍の力が瞬間的にかかります。
大腿四頭筋はこうした膝への衝撃を和らげる働きを持っています。
また、変形性膝関節症の原因にO脚があります。O脚は大腿四頭筋の筋力が低下することで生じます。
O脚になると歩行の時に重心の線が内側になります。その結果として膝の内側に体重がかかりやくすなります。こうした状態が続くことで膝の内側に痛みがでます。
大腿四頭筋の筋力を低下させないことが膝の状態を良好に保つことにつながります。
内転筋(ないてんきん)
恥骨筋・大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋(はくきん)を総称したものです。本来的には内転筋群(ないてんきんぐん)と呼んだ方が良いかもしれません。
骨盤の前面(恥骨)と背面(坐骨)からそれぞれ起点があり大腿骨とつながっています。骨盤を安定させる大事な働きをしています。
私たちの体の仕組みとして骨盤の上に内蔵があります。骨盤の下に膝があります。骨盤は寛骨・仙骨・尾骨などのいろいろな骨が組み合わさってできています。靭帯で骨盤はつながっていますが、骨盤を安定させているのが実は内転筋なのです。
大腿骨の付け根は骨盤の左右にある寛骨と接しています。大腿骨骨頭部が寛骨に内転筋でしっかりホールドされることで骨盤は左右から挟み込まれ安定を保っています。
内転筋による骨盤の安定は内臓の位置を整え、下半身の安定をもたらします。大腿骨の始点である寛骨部分がしっかりホールドされると膝の動きも安定します。
逆に内転筋の筋力低下は骨盤を不安定にさせます。内臓の位置が下がり、大腿骨の動きが不安定になります。
内臓の位置が下がることによる体の不調(胃もたれ・便秘・血行不良など)や膝関節の不安定による変形性膝関節症を誘発します。
内転筋の筋力トレーニングを行うことでそれらの予防になります。

大臀筋(だいでんきん)
お尻の筋肉のことです。人体において筋肉量が最も多く、深部には中臀筋や小臀筋があります。最も筋肉量が多いということは、それだけ人間にとって大事な働きに関係する筋肉だということです。
その大事な働きとは大腿骨起点部の固定と股関節の伸展です。
大臀筋は寛骨と大腿骨に作用します。寛骨は骨盤を形成しており大腿骨の動きの起点となっています。大臀筋の筋力低下は骨盤と大腿骨の固定力を低下させます。起点の固定力が弱い大腿骨はぐらぐらした状態で膝関節を動かします。それが膝への負担となります。
また、大臀筋の筋力が低下をすると股関節を十分に伸展させることができません。(股関節を伸展させる=骨盤を立てるという表現をされるトレーナーもいらっしゃいます。要するに腰を伸ばすという状態です。)
大臀筋を働かせず股関節が十分に伸びない状態が続くと腰が曲がったままの状態が固定されてしまいます。この状態を屈曲拘縮といいます。
屈曲拘縮が生じると腰を曲げた状態で歩くことになります。腰を曲げた状態では膝を伸ばして、踵から地面に着地することが難しくなります。屈曲拘縮した状態で着地を続けることで膝への過重な負担が生じます。
大臀筋の筋力低下はこうして膝を痛める原因となります。

大腿四頭筋のトレーニング方法
トレーニング方法
1.仰向けの状態で片方の膝を曲げる。
2.反対の脚をゆっくりと上げる。5秒間静止する(曲げた脚の膝の高さまで)
3.上げた脚をゆっくりと下ろす
ポイントは「ゆっくり」「5秒間静止」です。
筋肉トレーニングは「ゆっくり」することで筋肉に力をかける時間が多くなり、トレーニング効果がすばやく動かした場合よりも高くなります。
筋肉は力を込めると血流が制限されます。血液から栄養分を補給できない状態になり、筋肉には乳酸が生じます。乳酸からは水素イオンが生成され疲労物質として脳へ信号が送られます。そうすると脳よりと成長ホルモンの分泌が促されます。
成長ホルモン分泌されることにより新陳代謝が促され筋肉は疲労回復します。
楽に20回以上できるようでしたら、足首に重りとなる砂袋や重量テープを巻くなどして負荷を高めることでより一層の筋力アップが見込めます。
内転筋のトレーニング方法
トレーニング方法
1.床に寝て、ボールを両膝にはさんみます。
2.ゆっくりと両膝を閉じてボールを押します。
3.閉じきったところで6秒間静止します。
4.ゆっくりと膝を開きます。
5.15回1セットを目安にトレーニングします。
大臀筋のトレーニング方法
ブリッジ

トレーニング方法
1.上向きに寝ます。
2.両膝を曲げておへそを真上に突き出すように両足で床を押します。
3.腰を浮かせた状態をキープします。(5秒間。きついようなら秒数は短くしてかまいません)
4.15回1セットを目安にトレーニングします。
腹臥位 足上げ
トレーニング方法
1.うつぶせに寝ます。
2.膝を曲げ、床から脚を持ち上げます。(必ず膝を曲げてトレーニングしてください。)
3.足を上げた状態のまま静止します。(5秒間)
4.15回1セットを目安にします。
フォワードランジ

トレーニング方法
1.両足をそろえて立ちます
2.片足を一歩踏み出し体重を乗せます。(理想は膝が90℃に曲がるくらいの負荷をかけます。ただし無理はしなくてもよいです。)
4.出した足を元にもどします。
3.15回1セットを目安にします。
このトレーニングは大臀筋の他に、大腿四頭筋やバランス感覚も同時にトレーニング出来ます。
トレーニングを続けるために大事な考え方
トレーニング頻度は週に2~3回を目安にします。毎日行う必要はありません。中高年の方の筋力トレーニングで意識してほしい事は「続けられない自分を責めない」という発想です。
「できない自分を責める」のではなく、「できなかったらしょうがない」でも「次の機会にはしてみよう」的な考え方でいた方が長続きします。
その週にできなかったら、できなくてもいいのです。また、次の機会がある。
それぐらいの割り切りは必要です。
しかし、運動不足は脳機能や体力を低下させ認知症を誘発します。
その結果、あなたの寿命を縮めることにつながります。
それは、間違いありません。
できる時にできる頻度で10~15回続けられる適切な負荷のトレーニングは行いましょう。
なぜ「するのか」という動機づけが大事

筋力トレーニングを長期間、継続して行うには、「このトレーニングをなぜ行う必要があるのか」という明確な動機づけが必要です。
この点が曖昧であるとトレーニングが長続きしません。
動機づけが鮮明で具体的であればあるほど、トレーニングに対して前向きな気持で取り組むことが出来ます。
紙に「なぜ、このトレーニングを行う必要があるのか」を書き出してみてください。
思いつくままで結構です。「こうした理由はだめなのではないか?」と考える必要はありません。
思いつく理由を、自由に書き連ねてください。
たくさんの理由を箇条書きにすることで動機づけが具体化されトレーニング意欲が向上します。
トレーニングの結果、自分にどのようなベネフィット(利益や幸福感)が得られるのかをより具体化することが大事です。
例えば、
「膝の痛みを取りたい」ではなく
「膝の痛みがなくなり、歩けるようになることで友だちと一緒にレストランで食事ができる」
など、トレーニングを行ったことで自分にとっての成功体験の具体化したイメージを持つことでトレーニングに対しての意欲が湧きます。
そして、紙に書くという行為は自分を客観的に分析し認識することにつながります。そうしたトレーニングは、認知力(メタ認知力といいます。)を向上させることがわかっています。
まとめ



コメント