昭和生まれの40代~50代の男性教師はなぜか、「何しょうるんなら!」と頭ごなしに生徒を怒る場面が多いです。
なぜでしょうか?
恥ずかしながら、教師時代、頭ごなしに生徒を叱り=「キレて」しまい、始末書・反省文を書いた経験があります。
懺悔を込めて、その理由と解決方法についてお伝えします。
生育歴が関係している
昭和生まれの40代~50代の男性は教師や親から怒鳴られるのは当たり前。慣れっこであるという生育歴の方が多いのです。とりわけ部活での運動部経験者。昭和一桁代の指導者は軍隊で鍛えられた経験があり、ささいなミスも大声で怒鳴られ・頭ごなしに説教されるのが当たり前の世界でした。
そうした年代の親(男親)たちは、家庭内における叱責方法は似たようなものでした。
昭和一桁代に叱責されて育った生育歴が昭和生まれの40代~50代の男性教師にはあります。そして、生徒に対しても自分が受けてきた叱責方法を「当然」として採用する心理が働いているのです。
おじさん教師がすぐ怒る理由
怒りは二次感情です。私たちは日常的にさまざまな感情を感じて生活をしています。それらは一次感情と呼ばれています。
怒りはそうした一次感情が心の中でいっぱいになると生じます。
一次感情とは私たちが日常生活で感じるマイナス(陰性)感情のことです。「不安」、「心配」、「さびしい」、「悲しい」、「つらい」、「疲れた」、「困った」、「むなしい」といった感情です。
「心のコップ」がこうした一次感情でいっぱいになると人は怒りやすくなります。
おじさん教師は心の中に抑圧された一次感情をたくさんためこんでいます。
職場では新しいシステムの変化に適合できずに「不安」「心配」を抱えます。
そして家庭内では嫁さんや子どもたちに相手にされず「さびしい」気持ちを、さらに、体力的な問題では「つらい(しんどい)」「疲れた」という感情を持つようになるのです。
つまり、おじさん教師は心のコップがいっぱいになった状態になりやすいのです。そうした一次感情がいっぱいになった状態では怒りが出やすくなってしまいます。
おじさん教師がすぐ怒る=キレる理由は、一次感情のコップがいっぱいになった状態が続いているため、ちょっとした「きっかけ」で怒りの感情が爆発してしまうことなのです。
実例ケース1
体育の授業中。マラソン大会の練習初日。最初はゆっくり走りなさいと指示したにもかかわず、指示をきかずに、先へ先へいき、集団から、はるか先に行った生徒を激怒しました。大声で叱責をしたことで、登校拒否をおこさせてしまいました。その後、家庭に出向き、謝罪と今後の取り組みの改善的を協議。
激怒した原因や反省・今後の改善点について文書にまとめ、提出・職場全員で討議。(詳しい内容については個人情報が含まれるため割愛させていただきます。)
実例ケース2
特別支援学校での参観日。席につかずに立ち歩く生徒に対して、保護者の前で暴言を吐いてしまう。その原因として、一緒に勤務する同じクラスの同僚に対しての日頃の不満が蓄積しており、その不満の蓄積がピークに達していた状態でした。生徒が立ち歩くという行動が引き金となり怒りが爆発してしまった。生徒への八つ当たり的行為となってしまった。
当該生徒保護者との信頼関係の修復には数ヶ月かかりました。卒業後は、同窓会などで円満な関係が回復しています。
解決法!怒りをマネジメントすることが大切
実例ケース1の場合
「指導者の指示にしたがって当然」という意識があり、その指示に従わない生徒に対して激怒してしまった事例です。40代~50代は生育歴や人生経験の中で身につけてきた社会的規範が価値観の中で強固に形成されており、「~して当然」という意識が強くなっています。
指導者が持つ、価値観から逸脱した生徒への理解に乏しく、自らの価値観を押し付ける傾向が強くあります。
指導者が身につけてきた価値観への再考や見直し、生徒たちの価値観が何かを理解しようとすることが大切です。
実例ケース2の場合
これがまさしく、一次感情でいっぱいになった状態からの怒りの爆発です。
普段、抑圧してきた怒りが、ちょっとしたきっかけで暴発してしまった事例です。常識では考えられない怒りの爆発をしてしまった原因は、日常の中で同僚に対して「困った」「むなしい」「つらい」「しんどい」などの一次感情をためこんでしまったことによるものです。
怒りを爆発させないための解決法
「~すべき」という固定概念からの考え方を見直す。別な視点からの考え方・発想法を身につけることが大切です。
一次感情を必要以上にためこまないようにするにはどうしたら良いでしょうか?
一次感情は日常生活を送る中では、どうしても生じてしまいます。心のコップの中を一次感情でいっぱいにしてしまうと、怒りをちょっとたきっかけで、暴発させてしまいます。
それを防ぐためには、心のコップの中に一次感情がたまらないように、「水抜き」することが必要となります。
「水抜き」の方法は自分の一次感情の理由「困った」「むなしい」「つらい」「しんどい」を気の合う友人・家族などに言葉で伝えることです。
一次感情の理由を言葉で気の合う友人・家族に伝えることで、同意や共感を得ることができます。そうした相手からの同意や共感が一次感情の水抜きとなり、怒りが発生しにくい状況に変化をするのです。
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