網膜剥離手術を経験しました。手術にいたる経緯と、手術・入院生活・保険金請求の実際についての赤裸々なレポートです。
フットサルで網膜剥離になりました
2012年 7月 (52歳)私は、フットサル大会へGK(ゴールキーパー)として出場しました。大学生と対戦、至近距離からの強烈なシュートを顔面に受けました。右目付近に直撃でした。しばらく横になって休んだ後にコートに戻り、プレイを続けました。単なる打撲だと思っていました。
数日後、どうも見え方がおかしい。かかりつけの眼科で診てもらうことにしました。暗室にて検査機器で私の眼を見ていただいたところ、
眼科医「網膜に大きな穴が開いてますよ!」
「すぐに、手術をしないと失明の危険があります!」
もう、びっくりです。網膜剥離の手術をすることになりました。眼の手術など、生まれて初めてです。眼の中にメスが入ると思うと「どうなることやら」と不安になりました。
網膜剥離手術(網膜硝子体手術)の実際
2012年8月、私は網膜剥離手術(網膜硝子体手術)を受けました。私の場合、ボールが当たった衝撃で網膜に穴があいた状態(裂孔)になっていました。手術室へは車椅子に乗って行きました。
手術が始まりました。不安で一杯でした。心の中で思っていたことは「早く、手術が終わってほしい」それだけでした。
局所麻酔なので手術中の意識ははっきりしています。手術台では頭が動かないように厳重に固定がなされます。まさに”まな板のコイ”状態です。眼の中にメスが入るのがみえます。消毒液が目の前に広がっています。水槽の中で泳いでいるような気がします。
手術台の上には照明があります。執刀医の手元を明るく照らしています。その光が私の目に入ります。透明な空間にいて強烈な光のシャワーを浴びているような気がします。
手術中はとても時間が長く感じられました。
手術が終わりました。
手術後は2週間、うつむいた生活を送らなければなりません。
眼球内に特殊なガスが注入されています。このガスは吸収されるのが遅く、自然に抜けるまで約2週間かかります。そうしたガスの膨張力で剥がれた網膜部分を圧迫して剥離した網膜を元どおりにします。
ガスが抜けるまでは、毎日、24時間、2週間という期間、ひたすら、うつむき生活です。(テレビを見たくても、読書をしたくても、がまん、がまん。うつむく、毎日です。トイレなどへ行くのも、顔を下げ、うつむいて行きます。大変つらいものでした。)
網膜剥離とは眼球内で網膜に穴が空いた状態になると、そこへ硝子体の水分が入り込み網膜を剥がしていく症状のことです。網膜はフィルムの役目をしているのでそのままの状態を放置しておくと剥がれた網膜が元に戻らない状態になり、失明してしまいます。
保険金請求で執刀医の発言により保険金が却下されました
網膜剥離手術(網膜硝子体手術)は高額医療の対象となります。私の入院期間は2012/7/25~2012/8/11までの18日間でした。手術代・入院費用として病院から請求された金額は¥247,447円でした。手術代・入院費用は高額医療の手続きにより後日、還付がありました。
問題は、損害保険の保険金請求でした。私は今回の網膜剥離手術(網膜硝子体手術)に関しては2社に保険金が請求できる立場でした。一件はM損保、もう一件はN損保でした。M損保は6ヶ月毎に掛け金を納付して日頃の安心・安全を担保するために加入している損保会社です。
もう一方のN損保は、フットサル大会参加のために一日だけ掛け金を支払って加入した形の傷害保険です。(約5千円をフットサル参加者10数名で割り勘で支払いました。)
フットサル大会での負傷ということで請求をしました。N損保はすぐに手続きができ(診断書は不要でした)、保険金も支払われました。
問題は、6ヶ月毎にきちん、きちんと掛け金を納入しており、数年にわたり加入していたM損保でした。入院先の病院へM損保へ提出するための診断書を依頼したところ、
執刀医「(網膜剥離の原因は)加齢によるものなのか、フットサル大会での事故によるものなのか判断がつかない」
とM損保から問い合わせがあった際に答えたそうです。
結局、日々、きちんきちんと掛け金を納付しているM損保からは保険金は支払われず、フットサル大会で臨時に加入したN損保からのみ保険金が支払われました。
医師とは何なのか?患者の立場をどう考えていらっしゃるのか?
もやもやとした気持ちになりました。
網膜剥離手術で視力は上がったものの
手術後の約2週間という「うつむき生活」を終え、日常の生活に復帰することが出来ました。手術した右目は以前よりも、くっきり鮮やかに視界が広がっています。視力が上がったようです。
手術前に説明があったのか?私が聞き漏らしていたのか?どうかは不明なのですが、白内障予防手術も同時に行われたようです。私の右目の水晶体は摘出され、人工レンズが装置されたようです。
「ようです」というのが、執刀医から教えられたのではなく、私自身がネット検索で調べた情報だからです。視力は上がったので手術は成功です。
執刀医には感謝しています。しかし、インフォームドコンセント(患者が医師から診察内容・手術などについて十分な説明を受けること)は少々足りていないのでは?と思いました。
手術後に定期の診断を受けに行きました。執刀医との会話です。
私「右目に違和感というか、常にコンタクトレンズが入っているような状態なんですが?」
執刀医「ああ、そんなものですよ。(その違和感は)治りません」
どうも見え方がおかしい
右目の視力は上がったものの、コンタクトレンズが入っているような違和感は常につきまとっていました。夕暮れ時には、曇ったように見える時もありました。(眼球内の水晶体に水滴が付いているのだろうと、私は勝手に思っていました。)
朝になると、また元に戻り、よく見えているので不安に思うことなく過ごしていました。
ある日、右目の左1/4あたりの見え方がどうもおかしいと思いつつ、「また、いつものことじゃろ」としばらく、放置していました。
しかし、「どうも見え方がおかしい」
かかりつけの眼科を受診しました。
2016年1月のことでした。
緑内障と診断される
かかりつけの眼科で眼圧を測ったところ「右目の眼圧が36です!」急遽、眼圧を下げるために点滴治療を受けることになりました。
緑内障という診断でした。
放置した罰
かかりつけの眼科より眼圧を下げる点眼薬を処方してもらいました。ある日、図書館で緑内障について詳しく記事が載っている雑誌をたまたま読む、機会がありました。
その記事によると
「緑内障は正しく点眼薬をさすことで99%進行を防げる」とありました。
友人の薬剤師からも「緑内障?点眼薬を処方してもらようるんじゃろ?じゃあ、大丈夫よ!」と言われていたので安心しきっていました。
急激な眼圧上昇と失明の恐怖
点眼薬は処方された通りにさしていました。アルコールは医師からも大丈夫と言われていたので毎晩のように飲んでいました。(ストレス発散の目的が多分にあった時期でした。)
2016年2月8日 右目 眼圧37 点滴治療にても下がらず。視野欠損は進行中。このままでは失明です。当時の主治医に眼圧上昇の理由を尋ねても、「網膜剥離をした人は眼圧が上がりやすい」という説明はするものの、私が安心できるような明確な答えは返ってきませんでした。
しかし、点眼薬・血圧を下げる薬は「たんまり」と処方されました。
一回の診察で7千円近くの出費でした。「我が家の台所は現在、火の車。たまったもんじゃあない。」と思いました。
隣町にある、名医といわれる眼科医にお世話になる決意をした日でした。
もう、手術はしたくない
網膜剥離手術(網膜硝子体手術)で視力は上がったものの、「もう、手術はしたくない」と思っていました。
幸い、名医といわれるM眼科の主治医からは「薬でなんとか抑えましょう。」「できるだけ手術は回避する方向で」と治療方針を言ってもらい、希望が持てました。
2016年2月~4月の間、眼圧が上がる度に、診断・点滴治療に通いました。眼圧上昇が続くと視神経が圧迫され視野欠損となります。眼圧30以上の日々が続いていたので視野欠損が進行しているのが、失明の恐怖とともに実感できました。なんとしても眼圧を下げようと思いました。
(続く)
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