「ダイエットしなきゃ」と思いながら、気づけば何年も経っていませんか?
「糖質制限がいいらしい」「断食が効くらしい」—テレビや雑誌で見かけるたびにやる気が出るのに、3日で元通り。
わかります。私もそうでした。
私は38年間、保健体育の教諭として食と運動の指導をしてきた健康運動指導士です。65歳の今、ソフトボールのウィンドミル投法で本気の投球を続けています。
でも正直に言います。
50代後半、お腹まわりの脂肪が気になり始めたとき、私も「食事制限」に手を出して失敗しました。
朝を抜いて、夜も減らして、間食ゼロ。確かに体重は2kg落ちたんです。でも同時に、授業中に頭がボーッとする、ソフトボールの練習で全然力が入らない。
1ヶ月で体重は戻り、体力だけが落ちました。
あの失敗から学んだことは、たった一つ。
60代のダイエットは「減らす」のではなく「整える」—これだけです。
この記事では、私自身が実践して体が変わった食事法を、具体的なメニューとともにお伝えします。
「我慢しない」「特別な食材を買わない」「家族と同じものを食べる」。
この3つを守るだけで、体は変わり始めます。
筋肉と基礎代謝の「負のスパイラル」
最初に、60代の体で起きていることを知っておいてください。
ここを理解しておくと、「なぜ我慢式のダイエットがダメなのか」が腹落ちします。
40代以降、筋肉量は年に約1%ずつ減っていきます。
60歳の時点で、ピーク時から筋肉が20〜30%減っている方も珍しくありません。
筋肉が減ると基礎代謝も下がる。基礎代謝が下がると、同じ量を食べても太りやすくなる。
ここで食事を「減らす」と何が起きるか。
たんぱく質が足りなくなり、さらに筋肉が落ちるんです。
つまり食事制限は、60代では「痩せる」どころか「太りやすい体をつくる行為」になりかねません。
骨と免疫への影響も深刻
カルシウムやビタミンDの摂取が減ると、骨密度が低下して骨粗しょう症のリスクが上がります。
60代の女性は特に注意が必要です。閉経後はエストロゲンの減少で骨密度が急激に下がるため、食事で栄養を届けることが不可欠。
「食べない」ダイエットは、骨も免疫も削ってしまう。これが現実です。
60代のダイエット食事法 5つの基本ルール
ここからは、私が実践している「食事を整える」5つのルールを紹介します。
どれもスーパーで買える食材、普通の台所でできることばかりです。
ルール① たんぱく質を「毎食」摂る
60代の体にとって、たんぱく質は「筋肉の修理材」です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上の推奨量は1日あたり体重1kgにつき1.0〜1.2gとされています。
体重60kgの方なら、1日60〜72g。
大事なのは、1日の合計ではなく「毎食分散して摂る」こと。
朝にまったくたんぱく質を摂らず、夜に肉をドカッと食べる。これでは筋肉の合成が追いつきません。
私の場合の朝食はこんな感じです。
- 納豆1パック(たんぱく質 約8g)
- 卵1個(約6g)
- 味噌汁(豆腐入り)(約4g)
- ごはん軽め1杯
これだけで朝から18gのたんぱく質が摂れます。準備時間は10分もかかりません。
ルール② 「白」を「茶色」に置き換える
白い食べ物を、茶色い食べ物に変えるだけで、食事の質はグッと上がります。
| 白い食べ物 | 茶色い食べ物に変える |
|---|---|
| 白米 | 雑穀米、玄米、もち麦入りごはん |
| 食パン | 全粒粉パン、ライ麦パン |
| うどん | そば |
| 白砂糖 | きび砂糖、はちみつ |
なぜ「茶色」がいいのか。
食物繊維が豊富で、血糖値の急上昇を抑えてくれるからです。
血糖値が急に上がると、体はインスリンを大量に分泌して脂肪を溜め込もうとします。
これが「食べすぎていないのに太る」原因の一つです。
私は白米にもち麦を3割混ぜて炊いています。食感がプチプチして、むしろ白米だけより美味しいと感じるようになりました。
ルール③ 野菜は「最初に」食べる
食事の最初に野菜を食べる。いわゆる「ベジファースト」です。
これは医学的にも根拠のある方法で、食物繊維を先に摂ることで血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。
「サラダを用意するのが面倒」という方、安心してください。
私のベジファーストは、味噌汁です。
キャベツ、大根、にんじん、しめじ——冷蔵庫にある野菜を何でも入れて、朝イチで食べる。
味噌汁なら毎日作っても苦にならないし、体も温まる。冬場は特におすすめです。
ポイントは「味噌汁を飲み終わってから、ごはんに手をつける」こと。
これだけで食後の眠気が明らかに減りました。午後の授業中に生徒の前でウトウトする、なんてことがなくなったんです。
ルール④ 間食は「やめない」。中身を変える
「間食はダメ」と思っていませんか?
実は60代こそ、間食は大事です。
1日3食だけだと、食事と食事の間が長くなりすぎて血糖値が大きく変動します。その結果、夕食でドカ食いしやすくなる。
間食の目的は「空腹を抑えて、次の食事を腹八分目に留める」こと。
ただし、中身は選んでください。
おすすめの間食
- 素焼きのナッツ(アーモンド・くるみ)10〜15粒
- ゆで卵1個
- 無糖ヨーグルト(はちみつを少し垂らすと美味しい)
- 干し芋 2〜3切れ
- チーズ 1個
避けたい間食
- 菓子パン(脂質と糖質のダブルパンチ)
- 甘いジュース(液体の糖分は血糖値を急上昇させる)
- せんべいの大袋(気づくと全部食べてしまう)
私は仕事中の15時ごろ、アーモンドを10粒と温かいお茶を飲むようにしています。
これだけで夕食の「ドカ食い衝動」がかなり抑えられるんです。
ルール⑤ お酒は「禁止」より「コントロール」
ここは正直に書きます。
私はお酒が好きです。
晩酌のビールが楽しみで長年やってきた人間に、「禁酒してください」と言っても続きません。
だから私がやっているのは、「週に3日は飲まない日を作る」という方法です。
最近では3日間の禁酒を達成できた日もあります。
ストイックに「絶対飲まない」と決めるより、「今日は飲まない日。だから明日は楽しもう」と考えたほうが、結果的に長く続きます。
お酒を飲む日も、ちょっとした工夫で変わります。
- ビール1杯目の後は、ハイボールか焼酎の水割りに切り替える
- おつまみは枝豆、冷奴、焼き鳥(塩)を選ぶ
- 21時以降は飲まない(寝る前の糖質摂取を避ける)
「全部やめる」より「上手に付き合う」—これが60代の食事法では一番大事な考え方だと思っています。
【1週間の献立例】こめぞうの実際の食事を公開
「具体的に何を食べればいいの?」という方のために、私の実際の食事を1日分だけ公開します。
ある1日の食事例
朝食(7:00ごろ)
- もち麦入りごはん(軽め1杯)
- 納豆1パック(ねぎとからし)
- 味噌汁(豆腐・わかめ・ねぎ)
- 生卵1個
昼食(12:00ごろ)
- 焼き鮭定食(職場の食堂)
- ごはん普通盛り
- ほうれん草のおひたし
- 味噌汁
間食(15:00ごろ)
- 素焼きアーモンド 10粒
- 温かい緑茶
夕食(19:00ごろ)
- 鶏むね肉のしょうが焼き
- キャベツの千切り(ドレッシング控えめ)
- もち麦入りごはん(軽め1杯)
- 具だくさんの味噌汁(大根・にんじん・しめじ)
特別なものは何一つありません。
スーパーで買える食材、普通の料理、家族と同じメニュー。
「これなら自分にもできそう」と思ってもらえたら、それが一番嬉しいです。
60代のダイエットで「やってはいけない」3つのこと
効果的な食事法と同じくらい大事なのが、「やってはいけないこと」を知っておくことです。
① 朝食を抜かない
「朝は食欲がないから」と朝食を抜くと、昼食で血糖値が急上昇します。
さらに体が「飢餓モード」に入り、摂取した栄養を脂肪として溜め込もうとする。
朝は食べられない方は、味噌汁1杯とゆで卵1個だけでも構いません。
「何も入れない」と「少しだけ入れる」の差は、想像以上に大きいです。
② 流行りのダイエット法に飛びつかない
「糖質ゼロ」「ファスティング(断食)」「〇〇だけダイエット」
テレビで紹介されるたびに試したくなる気持ちはわかります。
でも60代の体に極端な食事制限は危険です。
筋肉が落ちる、骨が弱くなる、免疫が下がる。
「流行っている」と「自分の体に合っている」は、まったく別の話です。
迷ったら、かかりつけ医や管理栄養士に相談してください。
③ 体重計の数字だけを追わない
「体重が減らない=失敗」ではありません。
筋肉は脂肪より重いので、筋肉がつくと体重は減りにくくなることがあります。
でもその間に、お腹まわりのサイズは確実に変わっているはずです。
私が見ているのは、体重ではなくベルトの穴です。
体重が変わらなくても、ベルトが1つ内側の穴に入るようになったら、それは確実に「体が変わった」証拠です。
まとめ:60代のダイエットは「食事を整える」だけでいい
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 60代のダイエットは「減らす」ではなく「整える」。 食事制限は筋肉を落とし、逆効果になるリスクがある
- たんぱく質を毎食摂る。 卵、納豆、豆腐。特別な食材は要らない
- 白を茶色に。 もち麦ごはん、全粒粉パン、そばに置き換えるだけで血糖値の急上昇を防げる
- 野菜(味噌汁)を最初に食べる。 ベジファーストは60代にこそ効く
- 間食はやめない、中身を変える。 アーモンド10粒が夕食のドカ食いを防ぐ
- お酒は禁止より「コントロール」。 週3日の休肝日で十分
「明日から食事を変えよう」——そう思った方は、まず明日の朝食に納豆と卵を足すことから始めてみてください。
たったそれだけで、あなたの体は「整い始めます」。
何歳からでも、体は変われます。
一緒に頑張りましょう 🙏
この記事を書いた人
こめぞう|健康運動指導士
特別支援学校の保健体育教諭を38年間務め、65歳で退職。現在は健康運動指導士として「元氣冥利」を運営。シニアのソフトボールチームに所属し、ウィンドミル投法で現役続行中。「体とココロは何歳からでも変わる」をモットーに、60代からの健康づくりを体験ベースで発信しています。

