「最近、洗濯物を高いところに干すのが辛い」
「エプロンの紐を後ろで結ぼうとすると、肩にピキッと痛みが走る」
40代、50代を過ぎて、そんな「肩の違和感」に悩まされていませんか?
腕が上がらなくなる、いわゆる「五十肩(肩関節周囲炎)」や、頑固な慢性肩こり。これらは、日常生活の質を大きく下げてしまいます。
「運動しなきゃ」と思って、無理に腕をグルグル回したり、痛みを我慢してストレッチをしたりするのは逆効果になりかねません。
こんにちは、健康運動指導士のこめぞうです。
今日は、痛む肩に負担をかけず、固まった肩甲骨周りをじっくりほぐす「エアお手玉」ストレッチをご紹介します。
昔懐かしい「お手玉」の動きには、実は理学療法のリハビリにも通じる、驚くべき効果が隠されているのです。道具はいりません。座ったまま、今すぐ一緒にやってみましょう。
なぜ「ラジオ体操」より「お手玉」なのか?五十肩のメカニズム
そもそも、なぜ歳を重ねると腕が上がらなくなるのでしょうか?
原因の一つは、加齢や運動不足によって肩甲骨の動きが悪くなり、腕の骨と肩の骨がぶつかって炎症が起きることにあります。いわば、蝶番(ちょうつがい)がサビついている状態です。
この状態で、ラジオ体操のように腕を大きく上に振り上げる運動をすると、炎症部分をさらに挟み込んでしまい、痛みが悪化することがあります。
「下からすくい上げる」動きがカギ
そこで注目したいのが、伝承遊び「お手玉」の動きです。
お手玉は、腕を頭上に振り上げるのではなく、「脇を締め、下から優しく放り投げる」動作が基本です。専門的な言葉で言うと、インナーマッスル(回旋筋腱板)を安定させながら関節を動かす動作になります。
これにより、痛めやすいスジに負担をかけず、サビついた肩甲骨だけを効率よく動かす(アイソレーション)ことができるのです。
道具不要!座ったままできる「エアお手玉」のやり方
それでは、実際にお手玉を持っているつもりで動く「エアお手玉」をやってみましょう。
痛みが出ない範囲で行うのがポイントです。
ステップ1:基本の構え
- 椅子に浅めに腰掛け、背筋を伸ばします(猫背だと肩が動きません)。
- 両脇に「生卵」を一つずつ挟んでいるイメージで、脇を軽く締めます。
- 手のひらを天井に向け、おへその前あたりに構えます。
ステップ2:エア・トス(投げる動き)
- 右手に見えないお手玉を持っているとイメージしてください。
- 手首のスナップを使い、自分の目の高さくらいまで「ヒョイっ」と軽く投げ上げます。
- 【重要】 この時、肘の位置が動かないように注意しましょう。肘を支点に前腕だけを動かすのがコツです。
ステップ3:エア・キャッチ(受ける動き)
- 落ちてくる見えないお手玉を、手のひら全体で「フワッ」と優しく受け止めます。
- 受け止める瞬間、衝撃を吸収するように、肩の力をストンと抜いてください。
- これを左右交互に、リズミカルに行います。
「トス、キャッチ。トス、キャッチ。」
心の中でリズムを刻みながら、まずは10回繰り返してみましょう。肩の奥のほうが、じんわり温かくなってきませんか?
効果を倍増させる「目線」と「呼吸」のコツ
慣れてきたら、さらに効果を高めるための「2つの隠し味」を加えましょう。
1. 目線はお手玉を追う
エアお手玉の軌道を、しっかりと「目で追って」ください。
上を見上げ、下を見る。この眼球運動に合わせて首が自然に動くことで、肩こりの原因となりやすい首筋の筋肉(胸鎖乳突筋など)も連動してほぐれていきます。
スマホの見過ぎで固まった「首こり」にも非常に効果的です。
2. 呼吸を止めない
真剣になると息を止めがちですが、呼吸が止まると筋肉は硬直します。
- 投げるときに「ホッ」
- 受けるときに「スッ」
と、口で小さく声を出しながら行うと、自然と呼吸が続きます。リズミカルな運動は「セロトニン」という脳内物質の分泌を促し、痛みに過敏になった神経を落ち着かせる効果も期待できます。
慣れてきたら「本物のお手玉」を使ってみよう
「エア」で肩の痛みがなく、スムーズに動かせるようになったら、ぜひ「本物のお手玉」を使ってみてください。
実は、リハビリの観点から見ると、お手玉の中身(小豆や数珠玉)の「適度な重さ」が非常に重要です。
実は、本物のお手玉の『適度な重さ』が良い刺激になります。
手に少し重みを感じながらリズムよく動かすことで、筋肉の緊張と緩和が繰り返され(筋ポンプ作用)、肩周りの血流がさらに良くなることが期待できます。
まとめ:毎日の「隙間時間」が五十肩ケアになる
五十肩や慢性的な肩こりは、一回の激しい運動では治りません。大切なのは、「痛くない範囲で、毎日少しずつ動かし続けること」です。
- テレビのCMの間だけ
- お風呂が沸くのを待つ間だけ
- 煮込み料理をしている間だけ
そんな隙間時間に、「エアお手玉」を思い出してください。
「トス、キャッチ、トス、キャッチ」
その懐かしいリズムが、あなたの肩を少しずつ、でも確実に軽くしてくれるはずです。
心も体も柔らかくして、元氣な毎日を過ごしましょう。
※免責事項
本記事は健康増進を目的とした情報提供であり、治療を目的とするものではありません。激しい痛みがある場合や、炎症が強い時期(夜も眠れないほどの痛みなど)は運動を控え、必ず整形外科等の専門医を受診してください。

